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コラム

工場・倉庫建設に必要な建築基準法の基礎知識

工場や倉庫の建築計画において設計者が必ず検討することになるのが、「建築基準法のルールは、設計の際に何から見ればいいのか」という壁です。敷地や道路の条件、建てられる用途の範囲、建物の大きさや高さの上限、火災への備え、そして安全に使うための決まり——どれも外せません。ここでは、埼玉・東京で工場・倉庫・事務所の建設をお考えの方に向けて、どのように法に基づくプランニングを行っているのか解説します。

敷地と道路の“建てられる条件”——接道・道路種別・セットバックの基本

「この土地に本当に建てられるのか」。この確認は最も重要です。工場・倉庫は車両の出入りも大きく、接道条件により建物の条件も変わります。

境界や道路の幅、古いブロック塀、測量図の有無など、見ただけでは判断がつかないこともあるため、初期の確認が必要です。

敷地については、接道の有無・道路の種類・必要な後退(セットバック)の三点を先に確定することが大切です。法で定めた「道路」に2m以上接しているか、道路の種類(幅や扱い)によっては道路中心からの後退が必要か、確認を必要とする項目です。大型車の搬入ルートとあわせて一次配置を描けば、建てられる範囲や規模が現実のサイズで見えてきます。

手順は、①現地で境界標・道路幅・電柱や消火栓の位置を写真で記録、②市区町村で道路種別と幅員を確認、③必要なら測量を実施、④車両の曲がり・待機スペースを考慮しながら建物と出入口の一次配置図を作る、の順です。ここまで決まれば、後の「用途・ボリューム・防火」の検討がブレません。なお測量図があれば現地確認と役所調査がスムーズに済むケースがほとんどです。

用途地域と用途制限の基本——工場・倉庫・事務所で“建てられる建物”の範囲を知る

この建物用途はその地域で許されるのかを知らずに進めると、設計案を練り込んだあとで計画のやり直しになりかねません。

用途地域は種類が多いですが必ず確認が必要です。住居系は静かな環境を守るための制限が強め、工業系は活動を受け止める代わりに別の配慮が要ります。

建物用途は “何をどれくらいの規模で行うか”を先に言葉にし、用途地域の表に当てることです。たとえば「倉庫主体+小さな事務室」なのか、「事務所主体+一部保管」なのかで扱いが変わることがあります。音・振動・排水の配慮が必要な計画や、夜間の稼働を想定する計画は、地域のルールも合わせて確認しておくと後で安心です。

手順は、①市区町村の都市計画図で用途地域を確認、②計画の主用途と従用途を一文で定義、③騒音・匂い・排水に関する地域ルールを担当部署にヒアリング、④「計画概要書(A4一枚)」に整理して社内外で共有、の流れです。ここまで整うと、次の「建ぺい率・容積率・高さ」の数字が具体的に置けます。これらの作業も建設会社や設計者が行います。

ボリュームを決める数字——建ぺい率・容積率・高さ制限(斜線・日影)の押さえ方

「どれくらいの大きさまで建てられるのか」。この見通しが立たないと、必要な延床面積を満たせず、敷地探しからやり直し……ということもあります。

数字が並ぶと難しく見えますが、やることはシンプルです。建ぺい率=敷地に対する建築面積の割合、容積率=敷地に対する容積対象床面積の割合。高さは地域や道路、隣地との関係で斜めに切り取られると考えればイメージしやすくなります。

必要な延床面積と必要な天井高さを先に想定しておきます。倉庫ならラック寸法やフォークリフトの動線、工場なら機器の高さやクレーンの位置を基準にします。

このように建物ボリュームプランを作ることで、建築費の検討に進むことができるようになります。

防火地域・準防火地域と耐火の考え方——外壁・屋根・開口部の仕様判断のコツ

どこまでの防火仕様が必要なのか。工場・倉庫は開口部が大きくなりがちで、正しい検討が必要です。

地域の指定や接道、隣地からの距離で、求められる仕様が変わるのはわかりにくいものです。特にシャッターや大窓は判断が難所になりやすい領域です。

地域の指定(防火・準防火)と「延焼のおそれのある部分」を先に確定することが大切です。ここでいう「延焼のおそれのある部分」は、隣地や道路の中心から一定距離(3mまたは5m)以内にある外壁や窓、軒裏などをイメージするとつかみやすいです。該当する範囲は燃えにくい外壁や防火設備の窓・シャッターが必要になりやすいため、開口サイズ・位置・台数を早期に固めるほどムダが減ります。

手順は、①計画地が防火/準防火のどちらか、または指定外かを確認、②建物の周囲で延焼のおそれのある部分に該当する箇所を図面にマーキング、③外壁・屋根・開口部を標準仕様で仮置き(例:サンドイッチパネル、準耐火の壁、ガラスの防火設備、シャッターの防火タイプなど)、④コストと納まりを見ながら開口計画を微調整、です。開口が多い倉庫は特に、明かり・換気・動線のバランスを取りながら、必要な性能を無理なく満たす配置に寄せていきます。

安全に使うための必須条件——避難・内装制限・採光・換気・排煙の基礎と計画の順序

「万一の時に安全に避難できるか」「日常の作業が快適か」。ここが曖昧だと、引渡し直前に改修が発生したり、使いにくい建物になってしまいます。

避難経路の幅や出口の数、非常照明、内装材の燃えにくさ、採光・換気・排煙の確保は、用途と規模で必要水準が異なります。条文を追うのは大変でも、設計の順序がわかれば迷いは減ります。

想定する人数と作業内容から“必要な通路と出口”を先に置き、内装・設備の選び方を揃えることが大切です。倉庫で窓が少ない計画でも、換気や非常照明の計画を早めに入れておけば、工事終盤の追加が抑えられます。

①最大収容人数と作業の内容(積み下ろしの頻度、化学品の有無など)を整理、②その前提で避難経路・出口・非常照明の計画を一次配置図に重ねる、③内装材の仕様(燃えにくさ)と天井・間仕切りの扱いを決める、④採光・換気・排煙・空調等を、作業者の快適さと省エネの両面で検討、の流れです。ここまで固めておけば、確認申請や消防との調整もスムーズに進みます。

法の適用条件を先に確定し、ムダのない工場・倉庫建設へ

埼玉・東京で工場・倉庫・事務所の建設を進めるなら、接道・道路→用途地域→建ぺい・容積・高さ→防火・延焼帯→避難・内装・採光・換気等の順で前提を固めていきます。

信頼の置ける建築士・設計者にこれらの業務を任せ、安心して新築計画を進めていきましょう。

工場や倉庫・事務所の建設をお考えの方は、埼和興産にお任せいただければ設計や建築のプロが丁寧にご提案いたします。お気軽に埼和興産へご相談ください。

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